②急展開【子宮頸部高度異形成】
11月末、検査結果を聞きに行くと、医師は神妙な顔で言った。
「子宮頸がんの検査結果は陽性でした。コウドイケイセイです」
「高度異形成」
医師の雰囲気からよくない結果だと察することはできるが、初めて聞く単語に重大さの加減がわからない。
医師は図を書いて説明してくれた。それをまとめると次のようになる。
[定期検診] 正常 ⇄ 軽度・中度異形成(前がん)
[円錐切除術]高度異形成(前がん)~上皮内がん(0期のがん)
[摘出術] 浸潤がん(1期~)
「軽度や中度の異形成であれば、正常に戻る可能性があるので定期検診で様子をみるんですが、高度異形成と次の段階の上皮内がんは円錐切除術という手術が必要です。それ以上に進行していれば摘出になります」
前年は陰性だったのに、進行が速すぎじゃないか。軽度・中度を超えて、いきなり手術になるとは。
頭に浮かんだのは、急いだ方がいいのかもしれないということだった。
「検査の性能がよくなっているので、結果を大きくはずすことはないと思いますが、もしかしたら上皮内がんに進行している部分があるかもしれません。精密検査をしましょう。それと、念のため子宮体がんの検査もしますか?」
初めて、子宮体がんの検査もしてもらうことにした。
子宮頸部の精密検査は、患部を少し切り取るらしい。
切り取ると聞いてこわかったが、ちょっとだけなのですぐに終わる。
痛いといえば痛いが、感覚でいえば傷口に水がしみるような感じだった。
子宮体がん検査は、人によっては激痛らしい。
私の場合、激痛というほどではなかったが、痛みから逃れたくて体をよじった。
感覚でいうと、長い綿棒でまんべんなく強めにつかれている感じ。
その日は、下腹に生理のときのような重い感覚が残った。
12月になり、中国武漢市で新型コロナウイルスの感染者が報告された。
結果は12月中旬に出た。
子宮頸部には、やはり高度異形成が見られるとのこと。
子宮体がんの結果は異常なし。
かかりつけのクリニックでは手術できないので、その場で転院先の病院を決めることになった。
手術例の多い病院を勧められたが、家から比較的近く、通いやすい病院にすることにした。
運命の出会いはこのとき決まった。