①不穏な気配【二ヶ月つづいた不正出血】

結婚してからピルの服用はやめていた。

やめたあとも生理不順は続いていた。

生理が何ヶ月もこなかったり、きたかと思えばだらだら続いたり。

いつくるか分からない出血にそなえて、ナプキンはいつも手放せない。

間隔も期間も、ばらばら。基礎体温の上下もない。

そのたびに産婦人科を受診し、プレマリンデュファストンを処方してもらっていた。

 

2019年9月から10月にかけても、血が出たり止まったりを繰り返していた。

 

一日だけダーッと出血したかと思えば止まる。

数日すると、うすい血がだらだら出続ける。

止まるのかな~どうかな~と思っていると、止まる。

安心したのもつかの間。数日すると、また出血。

 

仕事が忙しいこともあり、病院に行くタイミングを迷っていた。

そのまま10月末になり、出血にまざって血のかたまりが出始めた。

いやな予感がした。

立ち上がると、出血にまざってごろりとした血のかたまりがいくつか出る。

 

11月に入っても血のかたまりは出続けていた。

血の気が引き、吐き気がするようになった。

これはもう限界かも。

ようやく産婦人科に行った。

 

ところが。

内診の結果、内膜の厚みは正常の範囲。むしろ終わりかけだという。

血液検査の結果も、数値に異常はない。

 

診察を終えそうな男性医師に、私は食い下がった。

「数値が平常なのは、出血が続いた二ヶ月の間、

とにかく鉄分を含む食べ物(ほうれん草やレバー、豚肉など)を意識して食べていたからだと思います。

でもこの出血量は、絶対におかしいんです!

19歳で大量出血して入院して輸血されたときと同じような感じで。

とにかく、出血量がおかしいんです!」

 

おかしいと連呼するわたしに、医師はなだめるように言う。

「う~ん、まぁ量の多い人はいますからね~」

 

分が悪い。

きっと医師はひどい症状の患者をたくさん見てきたのだろう。

わたしの場合、内診も血液検査も問題ないから、客観的に出血量を示す方法がないのだ。

つたない説明を繰り返しながら、分かってもらえないことが悔しかった。

きっとおおげさなことを言う人だ思われてるんだろうな。

そう思いつつも、引き下がれなかった。

19歳と同じパターンを繰り返すことは避けたい。

 

「う~ん、じゃあ子宮頸がんの検査しときましょうかね~」

 

一年前の検査結果は陰性だったし、

血のかたまりがごろごろ出てくる原因だとも思えなかった。

でも検査は受けることにした。

 

「結果を見てから薬の処方を決めましょう。

それと、まだお子さんいませんよね?

産むかどうか、旦那さんと話し合ったほうがいいですよ。

年齢のこともありますし」

 

医師の予告通り、血は止まった。

なんだかんだとばたばたして、検査結果を聞きに行けたのは11月末だった。

 

予想もしない診断結果が待っていた。