④流れのままに【術前検査、手術計画】
術前検査は、手術の十日ほど前に受けた。
当日の流れは、検査→ 手術計画説明・質疑応答(診察室)→ 入退院説明(入退院窓口)。
検査の所要時間は20分程度。
内容は、採血・検尿・胸レントゲン・心電図・2種類の肺活量検査。
その後、診察室で手術説明同意書と、入院診療計画書を見ながら説明を受ける。
「高度異形成のなかに一部、上皮内がんが見つかりました」と言われて衝撃を受けた。
高度異形成が見つかって二ヶ月。発見がもっと遅かったらと思うと感謝しかない。
病名は「CIN3(子宮頸部高度異型形成+子宮頸部上皮内癌 CIN3/HSIL+CIS )」
予定術式は「子宮頸部円錐切除術」
手術は30分程度。
初めての手術、一人暮らし、大量出血するのではないか。
もろもろの心配のため、入院期間2泊3日のところ3泊4日にしてもらった。
ちなみに麻酔方法は全身麻酔、硬膜外麻酔、静脈麻酔など選べるという。
入院する手術前日に麻酔科と相談して決めることにした。
質疑応答では次のようなことを聞いてみた。
Q1 2018年に子宮頸がん検診を受けたときは陰性だった。たった1年で手術が必要な高度異形成まで進行するのことはあるのか。
A1 感染したウイルスの速度によって進行度が違う。軽度・中度異形成であればウイルスの型を調べて治療方針を決めたりするが、高度異形成以上は手術と決まっている。検査はお金がかかるので手術と決まっているのに検査はしない。
Q2 進行が速いということは、上皮内癌以上に進行している可能性もあるのか。
A2 円錐切除した組織を病理診断して、浸潤しているかどうか調べてからその後の治療方針を決める。再手術(子宮摘出)となった場合、なるべくはやいうちに手術したほうがいい。
Q3 ウイルスが旦那にうつっていないだろうか……。
A3 男性は洗い流しやすいので、ウイルスのやりとりがあったとしても発症しない。
Q4 術前、術後に気をつけることはあるか。
A4 熱が出たら手術は中止になるので、術前は風邪をひかないようにする。術後は出血する可能性があるので、1ヶ月程度、運動したり重たいものを持ったりしないこと。自転車も乗ってはいけない。湯船につかるのは避ける。2週間は自宅で安静にすること。
そして一番聞きたかったことを聞く。
「不正出血が続くのは子宮頸癌が原因なんでしょうか」
そもそも受診のきっかけは大量出血で、知りたかったのはその原因だった。
子宮頸部の高度異形成はその過程で見つかった。
「不正出血はホルモンの問題だと思うので、子宮頸癌とは関係ないですよ。
重い病気から治療しなければいけないので今優先すべきは手術です。
手術後にホルモンを整えていきましょう」
もしかして、これまでと同じようなホルモン薬を服用することになるのか。
これじゃ今までと同じ治療を繰り返すだけかもしれない。
そう思い、19歳からの経緯や服用歴を伝えた。
「少量がだらだら続いたり、何ヶ月もこない不正出血もたしかに経験しました。
でも今回のは19歳のときに輸血したときと同じような出血量でこわいんです。
いつも生理の量が多い人がいるのは知ってますが、わたしの場合はだらだら出血が続いて、その間の量が極端に不安定なんです。かたまりもごろごろ出てくるし。
ホルモン調整がうまくできないだけで、こんな大量に出血するものなんでしょうか」
女医だからこそ、少しは異常さが分かってもらえるんじゃないか。
わたしは必死で説明した。
規則性がなく、いつ大量に出血するか分からない。
ナプキンは手放せない。
ひどいときには夜用ナプキンが30分ももたない。
下着どころか、ふとももやボトムスまで血にそまる。
卵サイズのかたまりがごろごろ出てくる。
これまで男性医師に言っても分かってもらえず、悔しい思いをしたことも付け加えた。
手術後、待望の答えが出た。