①究極の選択【子宮内膜異型増殖症】
2021年3月。
子宮頸がんと子宮体がんの検査結果を聞きに行く。
子宮頸がんは陰性。
しかし、子宮体がんの検査結果は、子宮内膜異型増殖症だった。
前年の円錐切除術の際に見つかったのは子宮内膜増殖症だった。
今回は子宮内膜異型増殖症。つまり、子宮体がんの初期(前がん)が見られるということ。
ヒスロンの服用中止から10ヶ月。
前医はこうなることも見据えて、大きな病院を勧めたのだろうか。
ピルの処方だけなら開業医に転院したいと告げた矢先のことで、絶妙なタイミングだった。
検査結果から、究極の2択を提示された。
子どもがほしいなら、6ヶ月間ヒスロン500㎎を服用しつつ、2ヶ月に1度子宮内膜全面搔爬術を受ける。ただしこの方法は再発率が70%だという。
もうひとつの選択肢は、子宮の全摘出だ。子どもは産めなくなるが、再発の心配はなくなる。
医師には、ヒスロンの服用と搔爬術の併用を勧められた。
年齢的にもまだ妊娠の可能性はあるというのがその理由だ。
じっくり考えて、旦那とも相談して、次回来院したときにどうするか教えてほしいと言われた。
でも、と思う。
誰に相談したとしても、これはわたしの体の問題だ。
決めるのはわたしで、すべてはわたし次第なのだ。
そう思った瞬間、これまでの経験や不安が一気に頭を巡った。
子宮頸がんでは、手術前にすでに上皮内癌に進行している部分があった。浸潤する前に食い止められたのは幸いだった。
子宮内膜増殖症の治療でヒスロン5㎎を服用してから10ヶ月しかたっていない。5㎎でも大量の出血とごろごろ出てくるかたまりで苦しんだ。500㎎だったらいったいどうなるんだろう。それと併せて2ヶ月に一度手術するということは、最低でも3回手術を受けるということ。薬代に手術代に診察代……。
えーい、迷っていてもしかたない。とにかく一歩前へ。
わたしはその場で決めた。
「子宮内膜全面搔爬術で、浸潤した部分がないか詳しい検査をしてもらえませんか」
医師は可能だと言った。
これで全面搔爬術がどういった手術なのか分かるし、3回受けることに耐えられるかどうかの判断もできる。
検査結果でもし浸潤している部分があれば、転移する前に子宮全摘にしよう。
2週間後に子宮内膜全面搔爬術を受けることになった。